羽化
朝起きるとベランダに合ったサナギの斜め上に蝶がとまっていた。
羽化したのだ。
羽根を閉じて強めに風に飛ばされないよう踏ん張っている。
遠目ではサナギの殻に変化がないように見えたけど、蝶を驚かせないように近づくのはやめた。
蝶の羽化というともっと朝早いイメージで起きたころにはもういなくなってるものだと思っていたが、この家で見た三回の羽化はいずれも朝の遅い自分でも見られる時間だった。
サンマガを読みながらちらちらと見ていたが中々変化がない。
大丈夫なのかと思っていると羽根を開いた。
去年見たときはこの状態だった。
少しずつ体が固まって羽根が乾くのを待っているのだろう。
サンマガを読み終わって窓に近づいたとき、驚いたのかたまたま偶然か蝶は飛び立っていった。
家の屋根より高い所を飛んで遠ざかって行ったがまた戻ってきて家の裏側に消えていった。
鳥に食べられたりしないで生きていってほしいと思う。
サナギになって十日くらいだろうか。
こうしてイモムシが上がってきてサナギになって羽化して飛び立つまでをつぶさに見られるのは中々の感動である。
散歩に行くと通り過ぎていった自転車に「日本一周」と書いてあった。
海岸線を縁取るように日本を一周してるのだろう。
やりたいことのある人はうらやましい。
雨上がりの公園にはおいしそうなきのこが生えていた。